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  • 伝えることから始めよう。高田明さんの今に集中する生き方に感動した!

    伝えることから始めよう。高田明さんの今に集中する生き方に感動した!

    友人にもよくいわれるのですが、性格はネガティブなほうでして。起きてもいないことを想像しては、将来を勝手に悲観したり、過去の失敗をほじくり返して勝手に落ち込んだりすることが多いです。

    自分でも面倒くさい性格だなぁと感じているので、目の前のことに集中できる生き方が出来ている人は尊敬してしまいます。そして、そんな生き方を実践して、日本有数の通信販売企業を一代で作り上げたのが、ジャパネットの元社長高田明さんです。

    伝えることから始めよう

    こちらは、高田明さんの初の著書。内容は自叙伝的にご自身の生き方、考え方を書かれているのですが、押しつけがましくなく、読んでいて元気になる。そんな感じの本でした。

    一生懸命に今を生きていると、課題が見えてくる

    ジャパネットタカタ。じっくり見たことはなくてもなんとなく、テレビで流れているは見たことがあるという人は多いのではないでしょうか。高田明さんは、長崎の佐世保の小さなカメラ屋さんを一代で大通販企業に成長させています。

    よほど野心が強く、意欲的な考え方の方なのかと予想していたのですが、実際はそういう野望があって事業をされていたわけではないと書かれています。

    事業を受け継いでから今に至るまで、一貫しているのは「目の前のことに集中する」ことです。ジャパネット高田は毎年の数値目標などは持たず、ただただ目の前のできるベストを更新するというスタイルで会社として大きくなってそうです。

    ジャパネットたかたの経営を振り返ってみると、「長期的なビジョンを持たない積み上げ経営」だったと思います。「長期計画のない経営」「目標を持たない経営」というテーマで講演したこともあります。計画性はほとんどなかったんです。  私は5年先、10年先の自分や会社の姿を思い描いたり、目標を立てたりして、それを達成するために今なすべきことを考えるという方法はとりません。そもそも5年先に何をしたいか、どうなっていたいか、ということすらあまり考えません。半年先、1年先のことも考えないんです。

    軸足を置いていたのは、とにかく「今」です。今できることに最善を尽くす。そこから、次のステップが見えてくる。最善を尽くす中で次のステップが見えてきたら、スモールステップで次に進む。その繰り返しで成長を続けてきました。目標と呼べるようなものがあったとしたら、それは、とにかく昨日よりも今日、今日よりも明日、今年よりも来年と売上を伸ばし、成長していくという強い想いでした。

    自分の中の迷いが吹き飛ばされる

    冒頭で書いたとおり、私は将来に帯する不安が強いほうでいつも物事を悲観的に捉えるほうです。友人には「石橋を叩いて渡らない」などとよく言われます。長期目標など立ててしまうと絶対に途中で無理と諦めていまうほうです。

    ですが、そういう私のタイプのような人間こそ、本書は得るものが大きいように感じます。

    長期計画を持たないスタイルというのは、特にビジネスの世界に置き換えると行き当たりばったりとも取れるのですが、逆を言えば、いくら考えてもできることは決まっている。考えすぎずに肩の力を抜いて今できることに注力しろという強いメッセージ性を含んでいます。

    できない理由を考えて、できないと決めてしまったら、それでお終いですけど、やると決めたら、そのための課題が見えてくると思っていました。

    テレビでのお馴染みのあの語り口調によって、押しつけ感がなく、背中を押されているという気持ちになります。

    大事なのは「伝わる」こと

    高田さんと言えば、あの軽妙な語り口が有名ですが、実はまったくの我流だそうです。高田さんの伝える技術の基本は「伝える」と「伝わる」は全く違うものだということです。

    コミュニケーションで最も大事なことは何だと思われますか? 私は「伝えること」ではなくて「伝わること」だと思います。テレビショッピングをやっていると、それをひしひしと感じます。今日のこの放送はお客さまに伝わっただろうか、って思うんです。「伝える」と「伝わる」は全然違います

    コミュニケーションの決定権は100%相手にあります。自分が何が伝えたいかよりも相手にどうつたわるかのほうがコミュニケーションにおいては重要なのです。このことをいつも念頭に置いていないと人は自分のことを理解してくれないと嘆いて、生きづらくなってしまい。

    ただ、それだけでは駄目でやはり自分が伝えようとしているモノが心のそこから自信もてるものでないと駄目なのです。

    モノを売る仕事をしている人間にとって最も大切なことの一つは、売っている本人が商品やサービスに絶対の自信を持っていること

    この気持ちが根底にあるからこそ、長く愛されるあの語り口が生まれるのだと納得できます。

    今日のアクション

    一代で大企業を気付いた経営者の本というのは、正論ではあるのですが、マッチョすぎて自分には無理という本が私の場合多いです。ですが、本書は読んでいて、よし自分も頑張ろう、と感じられる読後感を与えてくれます。

    ちょっと最近、いろいろ停滞気味だなあと感じたらおすすめの書籍です。

  • 支援しあうが関係性が新しい経済を作る〜【読書レビュー】ゆっくり、いそげ

    支援しあうが関係性が新しい経済を作る〜【読書レビュー】ゆっくり、いそげ

    経済的な豊かさだけを求めても、人は幸せになれない

    日本は労働生産性(GDP)が先進国の中で低い。たからより生産を効率化して国際競争に勝ちうる力を持たなければならない。とは以前から言われていることです。それは確かに大事なことですが、それのみを追求すれば、世の中に歪なゆがみを生み出してしまうのではと感じています。

    ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~

    経済的な発展のみを追求した社会は、システムに人が組み込まれた生きづらい社会になってしまうのではと考えています。経済的な発展は前提として大事だけれど、それを越える価値観をないのか。そう感じて悶々としているときに、本書に出会いました。

    経済は目的なのか手段なのか

    現代社会の労働生産性は基本的により大規模に、よりシステマティックに仕事することで向上させることができます。

    例えば、飲食店であれば、大規模な資本を投下して、より大量に品質管理と生産を行い、駅前などの人が多く通るところに、店舗を出店すれば、頑固親父が経営するこだわりのお店よりも売り上げや利益は上がるのかもしれません。

    ただし、システムとして経済が動くとき、個人の意志は二の次になってしまう。そうすると人はシステムを活かすための存在になってしまいます。

    ニュースなどを見ていると、よく企業の合併や買収の話が出てきています。合併や買収は経済的合理性からみればいいかもしれないけれど、中で働いている従業員は右往左往しているはずです。

    本来、個人の世の中を便利にしたり、個人の自己実現するために存在するはず企業が、いつのまにか企業といシステムを活かすための手段として社員を使っている。私はにはそんな印象を私は受けます。

    経済的は成長はものすごく大事だけれども、それだけでは我々は疲弊してしまうのは間違いないでしょう。

    西国分寺のクルミドコーヒー

    本書の著者、影山さんは元ベンチャーキャピタルのファンドマネージャー。多くのスタートアップの企業に投資を行い、経営をサポートしてきた実績持たれています。その後、2008年から東京の西国分寺で「クルミドコーヒー」というカフェを経営されています。

    立地が必ずしもいいとは言えない場所にありながら「クルミドコーヒー」は食べログのカフェ部門で全国1位を獲得。

    クルミドコーヒーの運営は、ファンドマネージャー時代に経済的な合理性を優先するスタイルの限界に感じた経験から、経済的合理性だけでは得ることのできない喜びを得るための様々な取り組みがなされています。

    よく自己啓発系のビジネス書などに「GIVE AND GIVEの精神を大事にしよう」と書かれています。

    ですが、人が大きなシステムに飲み込まれたとき、システムが個人を利用する関係性が生まれ、また個人をシステムを利用しようとするようになります。会社組織は従業員を駒として扱うようになり、従業員は会社を生活の糧として利用するようになる。

    影山さんは、この経済効率優先の中で生まれる個人と組織の関係性に疑問を持ち、クルミドコーヒーの中で様々な取り組みをしていきます。目指したのは人が支援しあう関係性のある組織つくりでした。

    仕事に人をつけるか、人に仕事をつけるか

    一般的な経営論として、仕事を属人化させてはいけないということが言われます。仕事の内容はできるだけマニュアル化して、だれでもできるようにする。要するに仕事をシステム化するということです。

    かっての日本マクドナルドや最近で言えば、無印良品などはこれの成功事例と言えるでしょう。

    ですが、クルミドコーヒーではこれと真逆、すなわち人に仕事をつけるように徹底しています。仕事に人をつけた場合、どうしても人は換えの効く駒になってしまい、仕事に対するやりがいを失ってしまうことになるからです。

    人に仕事をつけ、その人だからできることを仕事にしていけば、当然任された人はやりがいを見いだします。また、人として尊重されているという感覚が強くなるので、当然周囲に人に対しても支援するという気持ちが強くなると影山さんは考えています。

    結果、利用し合う関係ではなく、支援しあうGIVE AND GIVEの関係性が生まれるのです。

    もちろん、経営的な観点で見れば、品質が安定しない、担当している人が辞めてしまえば、ノウハウが残らないなどのマイナスの要因があります。影山さんはそれでも、理想のカフェの実現にむけて、あえて人に仕事をつける経営をされているのです。

    システムこだわり過ぎるとイノベーションは生まれない

    今、日本が抱えている経済的な課題をみると、 そのほとんどは社会がシステムに比重を置きすぎていることに起因してると私は考えています。

    iPhoneのように世の中にイノベーションを起こすような製品がなかなか生まれなかったり、過労の末に自殺者が出てしまうようなブラック企業の問題、コスト重視で法令を守らず死亡事故を起こしてしまうバス会社などは、いずれも個人がシステムに利用されることが原因です。

    なんとなく世の中に感じる閉塞感。マスコミなどでは経済成長が低いことがその原因のように言われますが、私は必ずしもそうではないと感じています。どちらかと言えば、過剰にシステムよりになってしまった今の労働のあり方を変えて、個人がより主体となった働き方を考えるべきでしょう。

    おそらくは、政治の側もその問題をある程度認識しているから、一億総活躍社会のようなキーワードが生まれるのではと感じています。ただ、その実現には、まだまだ道のりが長いと言えそうです。

    ただ、クルミドコーヒーの取り組みには、今後の社会や経済のあり方を考える上で試鑽につまった部分が多くあるのは間違いないと言えます。

    今日のアクション

    実のところ、この本の感想を記事に纏めるのにはかなり苦労しました。自分にとって重要だと感じるキーワードがあちらこちらにあり、どれに焦点をあてて記事を書くかがかなり難しかったのです。

    これからの個人の働き方を考える上でももの凄く参考になる本なので、とにかくおすすめの一冊です。

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  • 利益はどこから来るのか?ビジネスモデルを考える上で参考にしたい書籍5選

    利益はどこから来るのか?ビジネスモデルを考える上で参考にしたい書籍5選

    photo credit: Stock Photography – Canadian Coins via photopin (license)

    変化の激しい時代。盤石だと考えていた企業が突然、窮地に立たされることも珍しくありません。インターネットの普及とともにビジネスにおける収益の構造も大きく変化してきました。

    これからのビジネスモデルを考える上で、過去の成功した企業のビジネスモデルをその変遷とともに知っておくことには価値があります。

    今回は、私が読んだ本の中からこれはビジネスモデルを考える上で必読という本をまとめてみます。

    フリー 「無料」からお金を生み出す新戦略

    いわゆるフリーミアム戦略について解説をした本です。現代はインターネット上にフリーミアムのビジネスモデルが溢れています。本書ではこのビジネスモデルが誕生する歴史的な経緯について詳細に記述されています。

    広告収入を得ているブログもフリーミアムのビジネスモデルだと言えるので、一読の価値ありです。

    ワンクリック

    Amazonの創業者ジェフベゾスの起業物語が描かれた本です。Amazon創業から今日まで、収益を度外視した徹底した拡大戦略をとるベゾスの軌跡を読み解くことができます。

    ただ、参考にはなりますが、スケールが大きすぎるので一般の人の参考にどこまでなるかは微妙かも。

    小倉昌男経営学

    日本でここまでAmazonのサービスが定着した要因の一つはヤマト運輸の宅配網が広がっていたからだと言われています。

    本書は、ヤマト運輸の二代目の社長で宅急便などの現在につながらるサービスを開発した小倉昌男氏の著書です。先ほど紹介したワンクリックと合わせて読めば、注文すればその日のうちに届く現在のAmazonのサービスができるまでを理解することができます。

    ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか

    世の中にあるありとあらゆるビジネスモデルを23種類のパターンに分けて紹介しています。

    身の回りにある短かなビジネスモデルが一体どのモデルに当てはまるのかを考えながら読むと新しい発見があります。

    手元に置いて何度でも読み返したい本だと言えます。

    ビジネスモデル全史

    最初に紹介したフリーも含め、世の中のビジネスモデルの歴史を知ることができる一冊です。

    一つのビジネスモデルが台頭すると、それを打ち破る新しいビジネスモデルが登場するという物語の視点で書かれているため、大変読みやすくなっています。歴史を知ると盛者必衰であることが痛感できます。

    今日のアクション

    ビジネスモデル関連の本を読むと、現在世の中に出回っている短かなサービスができるまでの経緯を知ることができて面白いです。

    今やあって当たり前のサービスも、それができるまでには紆余曲折があることがわかります。やはりあるパッと魔法のようにうまれるビジネスはないですね。

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  • フレームワーク思考は役に立たない~【読書レビュー】申し訳ない、御社をつぶしたのは私です

    フレームワーク思考は役に立たない~【読書レビュー】申し訳ない、御社をつぶしたのは私です

     

    問題を解決するためにコンサルタントを呼ぼう

    ビジネスの現場では様々な課題を解決するために、複雑なシステム、思考法、フレームワークを導入することがあります。ときには外部から優秀とされるコンサルタントを招きいれることもあるでしょう。それでも、問題が解決しないどころか、返って状況が悪くなるということさえおきます(よく聞きます)。

     

     
     
     
    有名コンサルティングファームを渡り歩いた著者が、失敗プロジェクトの事例を挙げながら、その欺瞞をついています。
     
     

    ビジネスは数字だけでは管理できない

    最近は日本でも、企業の買収や合併、人員削減の話を当たり前のように聞ききます。多くの場合、これは経営の合理化として行われるため、株価や決算の数値は上向くことが多いです。はたから見ている分にはそれでいいのですが、私は、現場にいる人間からするとたまったものではないだろうと心配になります。

    組織が合併することで、それぞれの組織の文化の軋轢が生じます。派閥争いなども起きて空気が殺伐としてしまう可能もあるのです。人員整理をすれば一時的には業績は回復しますが、その後現場の社員の組織への忠誠度の低下、引いては生産性を低下を招くのは必至です。

    ビジネスを行うのは所詮人です。人の感情までは数値では管理できないのです。

    「測定可能な目標」が弊害を起こす

    日本企業でも、一時期過剰に成果主義が持ち上がられた時期がありましたが、うまくいきませんでした。測定可能は数値目標を設定するというやり方は、一見ビジネスにおいて正しいことのように見えて、様々な問題を含んでいます。

    事前に目標を低く設定しておくことで、成果を際立たせることもあり得ますし、そもそもその目標に関する数値は与えられた職責の範囲内でコントロールできないという問題もあります。

    そして何より、経理や会計の知識が少しあれば自明ですが、帳簿上の数値はいくらでも細工することができます。目の前の損得勘定に流されて、大きな問題に発展したケースはニュースでいくらでも扱われています。

    単純な話し合いが効果を発揮する

    ロジカルシンキング、ファシリテーション、リーダーシッププログラム

    ビジネスの現場ではコミュニケーションにも様々な方法論が導入されます。テクニックを導入することは立派なことなのですが、テクニックは所詮テクニックでしかありません。現場でおこるトラブルの大元をたどると、根本的に利害関係が対立している場合や、単純に仲が悪いというケースが多くあります。

    テクニックを導入する前に、立場を越えて、腹を割って話す覚悟と情熱のほうが重要です。問題の8割はコミュニケーションに起因します。

    今日のアクション

    コンサルティング業界の問題点を指摘しながらも、それを反面教師とした組織論のようにも読み取ることができます。ロジカルシンキングやチームビルディングの本が好きな方は、読んでおくと知見を深めることができる良書です。