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「Chikirinの日記」の育て方はブロガーと電子書籍のあり方に一石を投じる本だった

 

ネット上でも実名で活動することが一般的になってきました。一昔前はハンドルネームといわれるネット専用の匿名を利用するのが一般的でしたが、SNSの流行とともにその流れは変わってきています(私自身はハンドルネームですが。。。)。そんな中、実名を公表しない形で活動を続け、有名ブロガーとして紙の書籍も出版されているのが「Chikirinの日記」のChikirin氏です。

 

Chikirinの日記

 

Chikirin氏の社会分析はするどくとがった内容のものが多いのです。一読者として内容に関してエントリごとに賛同できるもの、できないものそれぞれにありますがこういう視点もあるのかという点で参考にしています。

そのChikirin氏が今回、ブログ運営に関する本、しかも出版者を経由しない形でのkindleの電子書籍を発売しました。なんとテーマはブログ運営です。

 

匿名でのブログ更新や独自ドメインは取得せずはたなダイアリーでの更新を続けている点、さらに紙の書籍を出版してすでにベストセラー作家でもあるにも関わらず、Amazonから出版社を経由しない形で本を出すという試みをするなど、今の有名ブロガーのトレンドとは全く異なるスタイルの活動に興味を持って電子書籍を購入しました。

 

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なぜ匿名ブログなのか

 

何らかのメッセージを聞いたとき、「それを誰が言ったのか」を気にする人は、まったく同じ発言でも、大企業の社長が言った場合と、アルバイトで生計を立てる若者が言った場合では、その解釈を変える人だからです。 私としては、そんな“先入観”を持つことなく、ぜひ私の考えたこと、書いたことをそのまま受け止めてほしいと考えていました。そんな“肩書きによる信用補強”が無くても、読む価値がある文章だと思ってもらえるのかどうか、それが知りたかったのです。

 

世の中の多くのことというのはそのことが正しいかよりも、発言者の信用力で決まることのほうが圧倒的に多いです。よくもわるくもそれが現実だと私は考えています。私は若いころはこのことに気付かずに損をした経験があります。

だからこそ、ビジネスをしている個人や法人はブランディングに力を注ぎます。私の知っているブロガーさんにも、個別の記事の内容に力を注ぎつつも、最終的にはブロガー個人を知ってもらうことを意識されている方は沢山います。

ところが、Chikirin氏はこの問題にあえてチャレンジしたのだと書かれています。ブログの内容と同じく、既存の常識を疑ってかかるという姿勢を受けてとれます。

 

当たりエントリを書いた翌日にこそもっと頑張る

 

ソーシャルメディア全盛で、SEO対策など必要ないという主張をよく見かけますが、多くの場合ソーシャルメディアで記事が拡散しても一時的にトラフィックが増えるだけで、継続的に読まれることは希です。ブログは記事の流入は検索からの流入に依存しがちなのです。

Chikirin氏は日本のソーシャルサービスの草分け的存在であるはてなダイアリーでブログを運営していたため、このことを熟知されていたようです。だからこそ、おもしろいエントリではなく、面白いブログと認識してもらうにはどうしたらよいかを早い段階で意識した運営をされています。

私の場合、ブログは運営をはじめてもうすぐ二年になりますが、このことに実感として気付いたのは割と最近です。私の知っている有名ブロガーの方も、ソーシャルメディアからの流入と検索からのブログの流入のバランスは意識されている方が多いです。

もともとインターネットについて詳しい訳ではないのにこのことに早い段階で気付いているのはビジネスの世界で磨いてきたセンスによるものなのかもしれません。

 

ブログの場合は、なにかのきっかけで通常の何倍ものアクセスがあった場合、その翌日に何を書くかが鍵となります。なぜなら、昨日たまたま来てくれた人の一部は、今日もブログを再訪してくれる可能性が高いからです。

それに備え、大きく注目された翌日こそ「昨日よりおもしろい何か」を書いておけば、再訪してくれた人に対して、一気に「このブログはおもしろい!」と印象付けられます。そうやって、「エントリを読みに来た人」を「ちきりんブログを読みにくる人」に変えるのです。

 

なぜ電子書籍を出したのか

 

ウェブにも技術にも詳しくない私でも、本当に電子書籍が出せる時代がやってきたのかどうか、それが確認したかったからです。 ようやく本は出来上がりましたが、さてこの本がどの程度売れるのか、読者の方の反応はどんなものか、今の時点ではまったくわかりません。でも、それこそが今後の楽しみです。

 

ブログが有名になる→kindleで電子書籍(出版者経由)で実績を作る→紙の書籍を出版という流れは今のトレンドになりつつあります。私の周りにもこの流れで電子書籍を出版した方が何人もいますし、フリーランスの方であれば、電子書籍の実績から次は紙の書籍を出すという流れも今後さらに一般的になると予想しています。

誰でも出版できて、書店などで書棚に並ぶことのない電子書籍はどうしても書籍より低いポジションとして扱われる傾向があります。そのような状況の中、今回紙の本で十分な実績を持っているChikirin氏が電子書籍を出したことはまさに実験的なことだと感じています。価格設定も紙の書籍と大きく差はありません。これで電子書籍がヒットして利益率が高ければ、電子書籍に対する世の中の見る目が変わる可能性もあります。その部分も含めてChikirin氏は実験しているのだろうなと感じました。

 

今日のアクション

 

大きい括りで考えるとプロブロガー本とも言えなくもないですが、内容はいわゆるプロブロガー本とは少し赴きのちがったものになっています。まさに「Chikirinの日記」の日誌のような感覚で読めました。

読みながらChikirin氏のように世の中の定石に縛られない活動をできる人はスゴイとも感じさせます。私がどちらかというと定石を組み合わせすぎて、身動きができなくなるタイプに人なので。

本の売り上げ結果についてもブログで今後レポートされるのが楽しみです。

 

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