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苦境に立つ人によりそうということ

photo credit: uckhet via photopin cc

 

もう10年近く前、社会に出てまもないころに付き合っていた彼女は、うつ病で一年近く仕事を休んでいました。ただ、普段はそういうそぶりをあまり出さず、私も病気についてよくわかっていなかったせいもあり、深く病気のことについて聞いたことはありませんでした。

付き合いだしてしばらくしてから、彼女の復職がきまりお祝いに食事へ行ったのを覚えています。

しかし、復職後少しずつ彼女の言動は変わっていき、最終的に一方的に拒絶される形で連絡がとれなくなりました。私も仕事が多忙になってきたこともありそのまま音信不通。

半年後、友人からの電話で彼女が亡くなったことを知りました。亡くなった理由は最後まで教えてもらえないままです。今思えば、1年ぶりに復職した彼女の負担は相当のはずで、きちんと受け止めるだけの器と適切なアドバイスができていれば、別の展開もあったのではと考えることがあります。

 

「うつ」とよりそう仕事術 (Nanaブックス)

 

 

うつ病で2度の休職を経験した著者が、復職へむけた具体的な仕事術をまとめた一冊です。うつ病にかぎらず、気分の落ち込んだときの仕事の乗り切る考え方を学ぶことができます。

 

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「できる」ことを確認する

 

そもそも何を持って彼女は復職を決めたのだろう。この本を読むとそういう気持ちになってきます。

本書では、具体的な復職する際の具体的な判断基準を著者の体験から細かく書かれていますが、重度のうつ状態になると家のことすらままならなくなるそうです。

私が見る限り当時の彼女はそんな酷い状況ではなかったように思います。

ですが、なんとなく陰のある暗い雰囲気は今になって思えばあったと覚えています。

ただ当時の未熟な自分にはそれをなんとなく感じることはできても、具体的に何かしてあげたり、悩みごとを引き出すような接し方をするというようなことはできませんでした。

本書には、日常生活、職場での工夫、その他ささいな言動について医師の視点ではない、リアルな体験からのチェックポイントが書かれています。うつ病のような病気は最終的には症状は目に見えません。本人も気付かないような些細な嚥下を回りの人が暖かく見守る必要があります。

 

第4の人間関係を構築しておく

 

直接、うつ病になったり、回復したりする要因ではないかもしれませんが、視野の狭さというのは間接的に大きな要因になると考えています。視野の狭さに対して自覚がないというのは本当に恐ろしいことです。

何も人間関係を広げる行為をしなかった場合、日常でコミュニケーションを図れる人というのは「家族、親せきなどの血縁関係者」「同僚、顧客などの仕事関係の人」「学生時代からの友人」など限られた世界の人だけです。

これらの人との関係性はもちろん大事です。ただ、これらの人達との関係性の中で醸成される価値観は、過去の自分の延長線上のものになりがちです。現状に行き詰っている状態であるのならば、そのときに必要なのは利害関係のない人からの今まで考えもしなっかた意見の場合も多いのではないでしょうか。

その意味において、趣味などを通じて利害関係のない、気のおけない仲間を作っておくことは重要だと感じています。

 

目標を探すために、欲は否定せずにとっておく

 

結局人間は将来への希望がもてないとやる気もなくなるし、モチベーションも下がります。日本の経済がよくないと言われているのも半分は現状よりも将来に対する悲観的な展望のほうが多いからです。

目標を見つけるというのはかなり難しいことで、かりに見つかったとしてもそれが実現可能なものかわかりません。最悪、どうにもできないと悟り余計に自暴自棄になってしまう恐れもあります。

それでも、将来が現状よりもよくなるという見込みが持てたときに人は少し前に進めるのだと思います。

そういえば彼女とあんまりそういう話はしてなかったと後悔が残ります。

 

今日のアクション

 

今日は震災から丸2年です。苦しい状況の中、それでも食べていくために働かなければならないという方も沢山おられると思います。本書はうつ病などの病気に限らず、広く苦しい状況で仕事をしている人へのエールを感じられる本です。GTDの具体的な実践ノウハウも掲載されているのでおすすめです。

当時の未熟な自分に読ませたいです。

 

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